新型ウイルス 鼻に噴霧、ワクチン開発へ 菰野町のバイオコモ 三重大、米製薬と共同で


三重菰野町の創薬ベンチャー「バイオコモ」の福村正之社長らは28日、県庁を訪れ、同社と三重大(津市)、米製薬会社「メディシノバ」の三者で、新型コロナウイルス感染症のワクチンを共同開発することに合意したと鈴木英敬知事に報告した。開発に取り組むのは鼻から噴霧するタイプのワクチン。注射に比べて簡単で利便性が高いという。日米で臨床試験(治験)を進め、実用化を目指す。三重大などによると、バイオコモと三重大院医学系研究科は、呼吸器に感染するウイルスの遺伝子を改変し、安全に目的の細胞へ抗原遺伝子を運ぶウイルスを開発。このウイルスに新型コロナに特有のタンパク質などを付け、鼻に噴霧して摂取する。ただ、この開発に当たっては、医薬品の製造管理や品質管理の基準を満たすことが一つの壁となっていた。メディシノバが加われば、人に投薬可能な品質のワクチンを製造できる。日米両国で治験を実施することで、開発が加速することも期待される。県庁で開かれた報告会には、福村社長と三重大院医学系研究科の野阪哲哉教授らが出席。メディシノバの岩城裕一社長も米国からウェブ会議システムを通じて参加した。福村社長らは鈴木知事に開発中のワクチンや研究の進捗(しんちょく)状況を説明した。岩城社長は「頑張っていかなければならないと責任を感じている。成功したら名前を『ワクチン三重』にしたい」と述べた。鈴木知事は「直近でも感染が拡大しており、不安が広がっている。今回の共同開発は一つの光明を与えてくれた」と期待感を示した。三者による共同開発の合意に先駆けて県は13日、新型コロナウイルス感染症のワクチンなど医薬品の研究開発に取り組む企業を対象とした補助金の交付先の一つに、バイオコモを選定。ワクチンの治験や製品化に向けた研究費を、200万円を上限に補助する。

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