認知症起こす脳内異常たんぱく質を可視化 放医研が検査薬開発 早期発見に道筋


加齢などに伴って脳内に蓄積し、認知症を引き起こす異常なたんぱく質を、体外から精度よく可視化する検査薬を開発したと、量子科学技術研究開発機構・放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)の研究チームが30日、米科学誌「ニューロン」電子版に発表した。認知症には、アルツハイマー病など複数のタイプがあるが、可視化によって疾患を特定するとともに、治療薬の開発に役立つ可能性がある。認知症のうち、アルツハイマー病▽レビー小体型▽前頭側頭葉変性症は、脳内に「アミロイドβ(Aβ)」と「タウ」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞を傷めることで発症する。疾患によってたんぱく質の種類や蓄積する場所が異なるが、症状のみでは判別が難しい。Aβとタウを可視化する薬剤は開発されてきたが、タウは検出精度の低さが課題だった。チームは、従来の薬剤を改良し、タウに結びつきやすく、体内で長時間安定して存在し脳へ移行する検査薬を開発。健常者23人(52~77歳)▽アルツハイマー病患者17人(47~88歳)▽前頭側頭葉変性症患者21人(60~83歳)――にこの検査薬を投与し、陽電子放射断層撮影(PET)で調べたところ、認知症の有無や疾患の違いで、タウの蓄積量や場所が異なることを確認できた。この検査薬を使うことで、タウの蓄積量などから病気の重症度を客観的に調べたり、治療薬の効果を確認したりできるようになると期待される。臨床研究も進んでおり、早ければ2022年にも国内で使えるようになる可能性があるという。チームの高堂裕平・放医研主幹研究員は「認知症治療は早期発見が重要だ。精度が高いこの検査薬をきっかけにより早期にみつけることが可能になる」と話した。【渡辺諒】

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