人工知能(AI)ベンチャーのプリファードネットワークス(PFN、東京都千代田区)は12日、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAI技術を活用して胸部X線画像の診断を補助するツールを開発したと発表した。京都府と京都府医師会が、肺がん検診でこの補助ツールを試験導入する。画像の見落としによる診断ミスを減らせる可能性がある。PFNが開発した診断補助ツールは、大量の胸部X線画像をAIが学習。肺がんの可能性がある異常を検知した場合、その部分を画面上に色を付けて表示する。また試験導入後も診断画像を追加で読み込み、診断精度を高める。京都府や京都府医師会での試験導入にあたり、画像データは匿名化したうえで、医療情報クラウド管理サービスのNOBORI(ノボリ、東京都港区)のシステムに保存する。日本放射線科専門医会によると、X線やMRI(磁気共鳴画像装置)などで撮影した画像から疾患の兆候を見抜く放射線診断専門医と放射線治療専門医は合わせて、日本には約6800人しかいない。疾患を見抜くには非常に高い技量と経験、集中力が必要とされる。少ない専門医が大量の患者の診断画像を見ざるを得ない状況で、疾患の見落としのリスクがかねてから指摘されている。PFNは平成26年3月に設立。トヨタ自動車やNTT、産業用ロボット大手のファナックと資本業務提携し、共同で研究開発に取り組んでいる。起業支援のフォースタートアップスによると、2日時点でのPFNの想定時価総額は国内のベンチャー企業では最高額となる3572億円とされる。