岡山済生会総合病院(岡山市北区国体町)で受けた脊椎手術が原因で脳梗塞を発症し、重い後遺症を負ったとして、中国地方の50代男性が同病院の運営法人と執刀した医師を相手に、慰謝料など損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こしたことが2日、分かった。病院側は「手術に過失があった可能性が高い」としている。 訴状などによると、男性は2017年3月、頸椎(けいつい)の神経が圧迫される「頸椎症性神経根症」の手術を受けた。しかし、医師が器具の操作を誤って動脈を傷つけたために血栓が生じ、術中に脳梗塞を発症。体幹機能が衰えて歩行時につえが手放せなくなった上、発音が難しくなる構音障害や上半身の感覚障害なども現れ、仕事に大きな支障を来している。 この医師を巡っては昨年8~10月、同じ診療科の医師2人とともに手掛けた別の脊椎手術で患者2人に後遺症が生じたとして、同病院が今年1月以降、脊椎に関する全ての手術を禁止している。その後、同病院は3人の手術について外部の専門家を交えて調査を進めており、今回の手術も問題視していたという。 提訴は9月18日付。男性は術後、身体障害者3級の認定を受けており、「医師からは『手術で問題が生じたケースはない』と説明を受けていた。症状が起こり得ることを事前に知っていれば、手術は受けなかった」とした。 医師は取材に対し「手術で動脈を傷つけた事実はない。カルテなどを確認して改めて精査したい」と述べた。