タクシー運転手が買い物など代行の社会実験


新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続く中、青森県三八地域県民局と県タクシー協会は県内で初めて八戸市と三戸郡を対象に、買い物などをタクシー運転手が代行する「救援事業」の社会実験に取り組んでいる。高齢者や自家用車を持たない交通弱者の生活支援が目的で、管内のタクシー会社10社が参加。買い物代行の利用者からは「便利」「米など重い物を運んでくれて助かる」と好評の声が寄せられている。社会実験は10~24日に実施。三八五交通、八戸タクシー、大石タクシー、ポストタクシー、マルイタクシー、県南タクシー、文化タクシー(以上八戸市)、大江タクシー(階上町)、三八五観光ハイヤー(五戸町)、田中タクシー(三戸町)が参加している。このうち6社は以前から青森運輸支局から救援事業の許可を受け、残る4社も実験開始前に届け出を済ませた。救援事業で対応できるサービスは、高齢者や障害者らの緊急の用事の代行、病院からの薬の受け取りや診察券の提出、公的機関の証明書類(住民票など)の受け取りなど。利用する場合は各タクシー会社に電話をかけ、配車係に依頼内容を伝える。社会実験のため、利用後に感想などをアンケート用紙に記入すると、運転手への手数料が無料(商品代は利用者負担)となる。11日、八戸市のポストタクシーでは、同市在住の高齢女性から買い物代行の依頼があり、運転手が依頼者の自宅近くのスーパーでペットボトル入りの麦茶やゼリーなどを購入して届けた。この日の同市は最高気温が35度を超す猛暑日。同社の上村秀雄常務取締役(市タクシー協会会長職務代理者)は「暑い時期は、近くの店でも歩いて買い物に行くのが大変。こういう時に買い物代行を利用してもらえたら」と話す。同社では10年以上前から「おつかいタクシー」という名称で救援事業に取り組んでおり、高齢者を中心に車を持っていない人から定期的に依頼があるという。社会実験終了後はアンケートの回答内容を踏まえ、コロナ下の新しい生活様式に対応した交通弱者支援の在り方を検証する方針。同県民局地域連携部の上野茂樹副参事は「社会実験を通じて、地域に根づいた公共交通機関としてタクシーがどういう役割を果たせるのかを模索したい」と語った。

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