コロナ検査の窓口10倍に 広島県内、月内にも500医療機関参加


広島県は8月中にも、身近なクリニックなどで新型コロナウイルスのPCR検査をできるようにする。唾液で調べるため医療者の感染リスクが低く、県内の約500の医療機関が参加を表明。これまで県内45の「帰国者・接触者外来」が主に担ってきた検査の窓口が10倍以上に広がる。新型コロナの感染拡大やインフルエンザとの同時流行に備える。対象は、発熱や嗅覚異常のある患者、アプリなどで感染者との接触が分かった人たち。検査は医療保険を使い、公費も投入されるため、自己負担分はゼロになる。唾液は主に患者自身に取ってもらう。医師が鼻から綿棒を入れて喉の粘液を取る方法と比べて、医療者が感染する恐れは小さい。さらに、新しい仕組みでは医師の判断でその場で検体を取れるようになり、検査までの時間を短縮できる。これまでは、保健所の依頼を受けて帰国者・接触者外来が検体採取。発症から検査まで平均4・2日かかっており、その間に重症化したり、他の人に感染を広げたりする恐れがあった。保健所が検査場所の調整や検体搬送に追われることも課題だった。県は7日まで参加を募集。同日朝の時点で490医療機関が応じた。今後も随時応募ができ、参加医療機関はさらに増える見通しという。県健康対策課は「より多くの検査をスピーディーに進められるようになる。保健所も接触者の追跡調査に労力を割ける」としている。唾液を用いたPCR検査は国が6月2日に認めた。県内でも7月に急増し、一般的な手法になっている。県保健環境センターは7月に扱った1344件のうち475件(35・3%)、広島市衛生研究所は1928件のうち416件(21・6%)が唾液の検査だった。広島大大学院の坂口剛正教授(ウイルス学)は「喉の粘液と同じように唾液も検体として十分使えるようになった。早く検査を受けることで、ウイルス量の多い感染初期に人にうつさない効果を期待できる」と話している。(衣川圭、田中美千子)

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