国立がん研究センターは29日付で、子宮頸(けい)がん検診のガイドラインを改定し、原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を調べる検査を新たに推奨した。導入に際しては、検査で陽性となった人を追跡する仕組みを確立する必要があると指摘した。
HPV検査は子宮の入り口の分泌液を専用器具でこすり取り、ウイルスが検出されるか調べる。ガイドラインでは、従来推奨している細胞を採取して異常を見つける検査と比べ、がんを減らす効果は同程度あり、検査間隔は長くできるとした。
HPV感染は多くの女性が生涯に1回は経験するが、ほとんどが自然治癒する。ごく一部で感染が続いて前がん病変と呼ばれる異常が起き、さらに一部ががんに進む。
ガイドラインは、HPV検査では、切除を要する異常やがんに進まない「偽陽性」が従来検査より大幅に増えると指摘。治療を要する状態に至るか長期間追跡する仕組みを、国内で統一してつくる必要があり、適切に追跡できなければ従来検査の効果を下回る恐れがあるとした。
HPV検査の対象年齢は30~60歳、検査間隔は5年を推奨した。従来検査は20~69歳、間隔は2年とした。
2009年に策定したガイドラインでは、HPV検査は効果が明らかになっていないとして推奨していなかった。 (C)時事通信社