良性腫瘍の「子宮筋腫」と悪性度が高い「子宮肉腫」を血液検査で見分ける方法を、福井大学と福井県立大学などの合同チームが発見した。福井大医学部の吉田好雄教授(59)らが7月9日、永平寺町の福井大松岡キャンパスで記者会見し発表した。吉田教授によると、肉腫は筋腫に比べて、血液中の四つのタンパク質濃度が高いことを世界で初めて突き止めたという。今後、国立がん研究センターと共同で有効性や精度を確認し、適切な治療につなげたい考え。筋腫は30歳以上の女性の20~30%が罹患(りかん)するが、一般的にホルモン療法で治療する。一方、肉腫の発症は10万人に1人程度だが、悪性度が非常に高く生存率が低いことから摘出が必要になる。⇒子宮頸がんウイルス検査、自己採取で吉田教授によると、筋腫と肉腫の判別は磁気共鳴画像装置(MRI)を使った診断が主流。しかし、判別できない症例があり、筋腫であるのに肉腫と判断され摘出されてしまうケースがある。両教授らは約10年前から、研究に着手。マウスに肉腫の細胞を移植し、遺伝子解析などから、血液中の四つのタンパク質の濃度が筋腫よりも高いことが分かった。吉田教授は「MRIと今回発見した血液検査を組み合わせることで、より見分ける精度が高くなる。筋腫なら子宮を残すことができるなど、患者にとってメリットだと思う」と強調した。今後、国立がん研究センターと共同で有効性を確認するほか、より精度の高い鑑別方法の確立を目指す。福井県立大看護福祉学部の水谷哲也教授(49)は「検体数を増やして確認し、できるだけ早く一般病院などで使えるようになれば」と話した。