アルツハイマー病を血液検査で判定する新検査システムの実用化に向け、国立長寿医療研究センター(愛知県)や島津製作所(京都市)などの研究グループが、今月から臨床研究を始めると22日発表した。従来より安価で患者の負担を減らせる可能性があり、3年以内の実用化を目指す。アルツハイマー病は、発症の20年ほど前からアミロイドベータ(Aβ)と呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積することが明らかになっているが、これまでは数十万円かかる陽電子放射断層撮影(PET)などの検査で調べるしかなかった。研究グループはこれに代わる手法として、血液中に微量に漏れ出るAβ関連物質を検査し、蓄積の有無を推定する方法を2018年に英科学誌ネイチャー電子版に発表している。臨床研究では、同センターと近畿大医学部(大阪府)、東京都健康長寿医療センターで約200人の患者らを対象に、血液検査とPETの両方を実施。結果の比較から血液検査の有用性を証明し、薬事承認などを目指すという。研究代表で国立長寿医療研究センターバイオマーカー開発研究部の中村昭範部長は「高齢者の健康寿命延長に役立ち、認知症対策のコスト低減につなげたい」と話している。【川瀬慎一朗】