ラット使い人工肝臓作製 九大、iPS細胞で


九州大病院の武石一樹助教らのグループは5日までに、ヒトのiPS細胞を使って人工肝臓を作製し、移植したラットの体内で機能させることに成功したと発表した。ヒトへの移植に応用できれば、肝不全の患者の治療に役立つ可能性がある。研究成果は3日、米科学誌電子版に掲載。武石助教によると、iPS細胞由来の人工肝臓の作製は世界初という。研究では、ヒトのiPS細胞から肝臓に必要な肝細胞や胆管細胞、血管内皮細胞を分化させ、ラットの肝臓から細胞を抜き取って作った鋳型に分化した細胞を注入し、ラットに移植できるミニ人工肝臓を作製した。人工肝臓にはラットの血管、胆管の構造が残っていて、別のラットに移植したところ、肝臓で生成されるタンパク質「アルブミン」ができるなど肝臓の機能が認められたという。ヒトへの応用には、iPS由来の肝細胞を多く培養し、ブタなど大きな動物を使ってよりスケールの大きい人工肝臓を作る必要がある。武石助教は「肝不全の根治治療は肝移植しかないが、現在はドナー不足が深刻だ。治療に応用できるよう研究を進めたい」と話した。〔共同〕

関連記事

ページ上部へ戻る