第57回日本薬剤師会学術大会座長
日本薬剤師会常務理事
豊見敦
さいたま市薬剤師会副会長
長谷部忠史日本において、癌は依然として国民の生命と健康に重大な影響を与える問題であり、死因の第1位となっている。約3人に1人が癌で亡くなり、生涯にわたり約2人に1人が癌に罹患すると推計されている。2019年の薬機法改正により、専門医療機関連携薬局の認定制度が創設され、癌患者が自分に合った薬局を選択できる体制が整えられた。23年に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画では、28年度までの6年間で、全ての癌患者が「いつでもどこにいても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる地域共生社会を実現する」ことを目指し、施策が定められた。この計画では、専門医療機関連携薬局の役割にも言及されており、拠点病院等が地域包括ケアシステムを踏まえつつ、薬局など地域の関係機関との連携を進めることが求められている。国に対しては、地域の関係者間の連携体制を構築し、地域における課題解決を促進するため、拠点病院等を中心とした施設間の連携・調整を担う人材の育成を引き続き求められている。現在、次期薬機法改正に向けて認定薬局に関する議論も進行中であり、専門医療機関連携薬局がその役割を十分に発揮できる体制を整えることは、社会的にも重要な課題です。本分科会では、厚生労働省の大原拓薬事企画官による基調講演で、「専門医療機関連携薬局に求められる役割」について再確認する。続いて、地域がん診療連携拠点病院であるさいたま赤十字病院の櫻井孝志先生から、薬局薬剤師との連携の現状と、チーム医療としての癌治療における薬剤師の介入の重要性について講演していただく。また、国立国際医療研究センター病院の松井礼子先生には、各地域に応じた連携の形や、今後期待される連携手法について、現在進められている薬局との連携事例を紹介いただく。さらに、アポック日高センター前薬局2号店の立澤明先生からは、専門医療機関連携薬局が関わる薬局間連携の重要性について講演していただく。本分科会を通じて、癌患者のケアにおける薬剤師の専門性と、地域医療との連携が果たすべき役割について、さらに深く考察し、今後の実践に生かしていただければ幸いである。(豊見敦)