「脳卒中患者」遠隔診療へ 若松・喜多方医師会、重症化を防ぐ


会津若松、喜多方の両医師会などでつくる「会津オンライン診療研究会」は、発症から短時間での治療開始が重要な脳卒中患者を、会津若松市の専門医がオンラインで遠隔診療する仕組みの導入に向け検討に入った。最寄りの病院に搬送後、専門医の指示で素早く治療を始め、重症化防止につなげる。同市への搬送に時間がかかる南会津地域から導入し、会津全域へ拡大したい考えだ。脳卒中は脳の血管が破れるか詰まるかして、脳に血液が届かなくなる病気。血栓を溶かす薬は発症から4時間半以内でなければ使うことができず、重症化を防ぐには早期の治療開始が重要になる。会津地方では、専門的に対応できる1次脳卒中センターが会津若松市に2カ所しかなく、南会津地域から搬送する場合1~2時間以上かかる。その後に検査や家族への説明などを始めると投薬までさらに1時間程度を要し、早期の治療開始が難しい。遠隔診療では、脳卒中患者が出た場合、救急隊員は最寄りの病院へ搬送する。最寄りの病院の救急医と会津若松市の専門医はタブレット端末で、搬送中の救急車内の映像や音声、病院で実施した検査の結果を共有。専門医が投薬などの治療方針を決めて救急医に指示を出すため、早期に治療を開始できる。投薬しながら専門医へ搬送することも可能になる。研究会によると、脳卒中の遠隔診療は国内での導入例は少ないが、海外では対面診療と変わらない効果と安全性が確認されているという。研究会副会長の石田義則医師(竹田綜合病院脳神経内科長)は「医療の地域格差を解消するには有効な仕組み。導入に向け、医療機関や消防本部、自治体などと対話を重ねていきたい」と話している。

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