リンゴ生産者の健康寿命を延ばし、長く現役でリンゴ作りを続けてもらおうと、青森県弘前市は来年度から、生活習慣の改善に向けた新たな取り組みを本格化させる。弘前大などが開発した啓発型の健康診断「QOL健診」を採り入れる。QOL健診は、弘前大などが16年前から岩木地区の住民を対象に続ける大規模健診「岩木健康増進プロジェクト」で蓄積したビッグデータをもとに、弘前大COI研究推進機構が開発した。通常の健診より項目を絞り、病気の発症リスクをその場で示すことで生活習慣の改善を働きかける。県内の企業などで導入に向けた取り組みが進んでいる。市は、リンゴ生産者にもQOL健診の普及を図る健康啓発事業を今年度から開始。18日には、市内の県りんご会館で、県りんご協会青年部の生産者や職員約20人がQOL健診に臨んだ。全身の筋力の指標となる握力測定や、野菜の摂取量がわかる皮膚カロテノイド測定、全身の健康にも関係する唾液(だえき)の検査など8項目を受診。専門家による健康教室で、健診結果に基づいた健康づくりの実践法を学んだ。19日までの2日間で計50人が受診予定で、7月には若手生産者向けに健診を拡大し、来年3月には今回1年間の改善効果を確認する健診を開催する。弘前大COIの中路重之拠点長は「楽しんで、その場で結果を持って勉強し、やる気がおきる健診。いろんな職種、年代にも広げたい」と話した。(林義則)