「介護版人生すごろく」家族で話し合う機会を…ゴールは「幸せな臨終」


「親父(おやじ)の様子がなんか変だ」「ひょっとして認知症?」と心配する場面から始まる「介護版人生すごろく」を愛知県の福祉関係者らが作り、販売している。自宅での介護や施設への入所などの際に、家族が得られる支援を学びながら、ゴールの「幸せな臨終」を目指す。「経済的成功が目標の『人生ゲーム』のその先を考えてほしい」との思いが込められている。ゲームは「オレと親父の認知症ライフ」(オレ親、税込み3300円)のタイトルで7月に発売された。41枚のカードを並べ、サイコロを振って駒を進める。最大4人が参加できる。カードの裏には「転んで骨を折る」「財布をどこに置いたか忘れてしまう」といった、認知症の進行でよく起こる状況が書かれている。医師やケアマネジャーなどの「お助けカード」を使い、「親父」にとって最良の選択を考えながら駒を進める。福祉関係者や中学校教諭ら5人が製作委員会を作り、2年かけて商品化にこぎ着けた。メンバーの一人で、愛知県西尾市で介護施設を経営する田中正大さん(43)は「ある日突然、家族に介護が必要になり、慌てる様子を見てきた。介護の実態を学べるツールを作りたかった」と話す。ゲームの最後のカードは「心の準備を始める 最期の思い出作り」。製作に参加した国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の川嶋修司医師(55)は「家族の終末期を考えるのは抵抗があると思うが、ゲームをきっかけに話し合う機会を持ってほしい」と訴える。これまでに病院や介護施設や大学などが購入。「施設への入所が肯定的なイメージに変わった」などの声が寄せられたという。注文は「オレ親」製作委員会のホームページ(https://oreoya.jimdofree.com/)から。

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