厚生労働省は10月17日、第99回目となる社会保障審議会・介護保険部会を開いた。今回は、今後の議論について改めて項目を総括。その後、「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進」について議論し、前回に続いてさまざまな意見が寄せられた。厚労省の老健局高齢者支援課の須藤明彦課長からこれからの議論について、以下の項目を論点として挙げた。「総合的な人材確保」では▽多様な人材のさらなる参入促進▽介護福祉士をグループリーダーとして育成すること▽介護の仕事の魅力の効果的発信と関心喚起▽介護職としての活躍を希望する外国人介護人材に対する受入・定着勧奨および介護福祉士の資格取得支援――など。「地域における生産性向上の推進体制の整備」では、介護現場の生産性向上の推進に関し地方公共団体の役割を法令上、明確化することの方策について。「施設や在宅におけるテクノロジー活用」では、施設や在宅サービスを含めたテクノロジーの一層の普及・活用の方策について。「介護現場のタスクシェア・タスクシフティング」では、介護助手が存分に役割を果たすため、確保も含めた方策について。「経営の大規模化・協働化等」では、▽地域の実情等を踏まえた経営の大規模化・協働化の推進▽社会福祉連携推進法人制度の普及・活用▽管理者等の常駐等についてテレワーク等の取扱いを明示する――など。このうち介護人材の確保については複数の委員から「行ってきた施策の効果検証を十分に行うべき」との要請が改めて出された。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)からは、「事務所でなく一人ひとりからヒアリングを行うべき」との提案もあった。また、染川朗委員(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長)は、「若者が介護職を選択できる根本的な処遇改善の必要性」を強く訴求。東憲太郎委員(公益社団法人全国老人保健施設協会会長)は、「高いレベルを有する介護福祉士を認定し、特別処遇加算を特別付与することで年収7〜800万円を得られる仕組みの検討」を要請した。さらに介護助手の導入については、橋本康子委員(一般社団法人日本慢性期医療協会会長)が「地域で介護助手のなり手を確保できるのか」と疑問を呈した。これについては、須藤課長からも「非常に重要な視点である」との認識を示した。現在、介護助手を配置する効果を介護施設で確かめる調査を実施中で、今後の議論に活かしてく方針。