原因たんぱく質を除去 アルツハイマー病予防薬治験開始へ 国内では数十人


認知症で最も多いアルツハイマー病の発症予防薬の実用化を目指し、日本の製薬大手エーザイが開発中の薬剤「BAN2401」を認知機能が正常な人に投与する治験が近く日本でも始まる。世界で1400人の参加を目指し、米国で先行、薬剤を4年余り投与して効果を検証する。日本では数十人の参加を見込む。アルツハイマー病では発症の10~20年以上前から「アミロイドベータ」というたんぱく質が脳内に蓄積し、神経細胞を壊していく。BAN2401は、脳内のアミロイドベータにくっついて除去することが動物実験などで確かめられた。病状が進行した後では認知機能が回復しないとされ、治験は発症前の人を対象にした。治験には、陽電子放射断層撮影(PET)による検査でアミロイドベータの蓄積が確認されているが認知症の症状のない55~80歳の男女が参加。2~4週間に1度、4年2カ月にわたってこの薬剤を点滴で投与するグループと、薬剤の入っていない点滴を投与するグループに分け、アミロイドベータの蓄積や認知機能の変化を比較する。米国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けているアルツハイマー臨床研究機構(ACTC)とエーザイが共同で実施。米国では2020年9月に投与が始まった。国内での治験は、発症前の人を対象に東京大などが行う疫学調査と連携して行う。厚生労働省によると、国内の認知症患者は20年に約600万人と推計され、このうちアルツハイマー病が7割を占める。エーザイはこれとは別に、アルツハイマー病の治療薬候補「アデュカヌマブ」を米食品医薬品局(FDA)に承認申請しており、FDAは6月7日の期限までに承認の可否を判断する。

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