内視鏡で心臓に細胞シート移植 京大など機器開発


人工多能性幹細胞(iPS細胞)などから作ったシート状の細胞を、内視鏡を使って心不全患者の心臓表面に移植できる機器を開発したと、京都大などの研究グループが20日発表した。開胸手術でシートを移植する従来法より患者への負担が少なく、術後の早期回復などが期待できるという。京大は2~3年以内の医療機器承認を目指す。心不全の治療では、ドナー不足が深刻な心臓移植に代わり、再生医療の研究が進んでいる。大阪大では、iPS細胞から心臓の筋肉(心筋)細胞を作り、シート状に加工して重い心臓病患者に移植する医師主導の治験を開始した。ただ、患者の胸を大きく切開してシートを張り付けるため、患者に大きな負担がかかることが懸念されていた。開発した機器は、円筒形(直径約2センチ、長さ約35センチ)で、先端にシートを張り付けるための、収納可能なヘラ状の装置を備える。手術の際は、患者の胸を小さく切開し、機器を挿入。内視鏡で観察しながら、心臓近くでシートをのせた装置を広げて、移植したい場所に張り付けることができる。京大病院の升本英利特定助教(再生医学)は「機器はさまざまな種類の細胞や厚さのシートにも利用できる。将来的には、心臓以外の臓器への応用も検討したい」と話している。

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