極薄スキンセンサーで名医、匠の技計測 東大などのチーム開発


指先の皮膚に直接貼り付けて、ものに触れたときにかかる圧力を精密に測れるセンサーの開発に成功したと、東京大などの研究チームが発表した。論文が20日、米科学誌サイエンスに掲載された。名医の手術のような繊細な手作業を計測し、そのデータで手術ロボットを高度化するといった応用が期待できる。センサーは金の電極とゴムのような弾力を持つポリウレタン繊維などを重ねた厚さわずか12マイクロメートル(1マイクロは1千分の1ミリ)のシート。微細な穴が無数に空いているメッシュ状で、着けている感覚がほとんどなく、自然な指先の動きを妨げずに計測できる。また、米1粒の半分に相当する10ミリグラム程度のものが載ったときの圧力が測れるほど、精密な感度がある。研究チームは実験で、センサーを着けた場合と何も着けない場合の双方で、物を持とうとするときの力に差がでないことを確かめた。指先にセンサーを貼り付けても皮膚感覚に影響が出ないことを世界で初めて実証したことになるという。従来あった手袋のような形状で接触時の圧力を測るセンサーは、本来の皮膚感覚が損なわれてしまうことが課題だった。今後、手術ロボットの高度化への応用のほか、老化現象の解明や病気の早期発見につながる可能性があるという。指先の感覚は加齢や病気によって変わることがあるが、研究チームは、こうした微妙な変化をセンサーで測って得たデータが、それぞれの解析に役立つとみている。

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