腕前は熟練技術者並み AIロボットでiPS細胞培養―理研


人工知能(AI)で制御したロボットが、試行錯誤を重ねながら人工多能性幹細胞(iPS細胞)を培養する実験の一部を、理化学研究所などの研究チームが7日までに公開した。AIが試薬濃度や処理時間などを少しずつ変えながら最適な方法を自ら見つけ出し、熟練技術者並みの成功率を出したという。実験ではロボット「まほろ」2台がそれぞれ実験の計画から培養、結果の評価までを担当。AI制御で2本のアームをなめらかに動かしてピペットから試薬を垂らしたり、実験装置を操作したりと複雑な作業を行う。iPS細胞からさまざまな組織細胞を作るには、少しずつ条件を変えながら一定期間培養を行って最適な条件や手順を探る必要がある。開発段階で行った網膜細胞を作る実験では、一度に48通りの条件でiPS細胞を40日間培養し、結果を基に次の条件を計画する工程を3回実施。その結果、熟練技術者並みの91%を網膜細胞に分化させることに成功した。現在は民間企業と共同で、実用化に向け別の臓器の細胞培養に取り組んでいる。神田元紀上級研究員は「ロボットとAIに培養を任せることができれば、科学者はより創造的なことに時間を使える」と話している。

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