コロナ感染防止へ心砕く「介護現場」 利用者と密接…対策徹底


新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の解除から1カ月以上が過ぎ、都道府県間の移動も緩和された。しかし、引き続き気の緩みが許されないのが介護関係の施設だ。「高齢者は感染すれば重症化しやすい。感染者を出すわけにはいかない」。関係者は感染防止対策の徹底に心を砕いている。介護の現場を取材した。開放感のある施設に入ると、職員の掛け声に合わせ、利用者が椅子に座りながら腕や足のストレッチに取り組んでいた。訪れたのは、いわき市平上片寄にある、片寄診療所・通所リハビリセンターだ。40~90代の約110人が登録し、1日最大50人が利用する。要支援者や要介護者が通所してリハビリに励み、身体機能の維持や回復を目指している。新型コロナの影響から、通所を控える利用者が見られるようになったのは2月下旬。利用者の身体機能の低下を防ごうと、職員が自宅で過ごす約20人に電話をかけ、体調確認や運動指導を行うなどの工夫を凝らした。感染拡大に伴い、一時はマスクやアルコール消毒剤などの衛生用品に不足もあったが、5月下旬からはなんとか在庫を確保できるようになっているという。「よりどころに」現在の課題について、介護主任の和田広美さん(45)は「通常より業務量が増えて人手が足りない」と胸の内を語る。同施設では、介護士や作業療法士ら約10人が勤務している。限られた人数で利用者を検温し、体調に異変がないかを確認。送迎車両のドアノブや座席、施設内の手すりや運動器具の消毒作業を念入りに行うなど、気の抜けない毎日という。また、介護の現場では、職員と利用者が密接する状態は避けて通れない。特に入浴支援や個別リハビリの指導では、職員が利用者の体を支えたり、マッサージしたりするため、手指の消毒やマスク着用を徹底、場合によっては手袋を着けるなどの対策を講じている。介護の現場を離れても、職員の気持ちは張り詰めたままだ。「感染予防のために仕事以外での外出を控え、職員一人一人が気を付けて生活を続けている。いつまで続くのか。終わりが分からない」と和田さんは不安をにじませる。それでも「施設は利用者の皆さんが少しでも健康で楽しく過ごすことができる『心のよりどころ』でありたい」と語っていた。

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