厚生労働省が今月発表した人口動態統計(概数)によると、長崎県内で2019年に生まれた赤ちゃんの人数(出生数)は9585人で、記録が残る1933年(昭和8年)以降、初めて1万人を割り込んだ。出生数から死亡数を引いた「自然減」は8027人で18年連続。県こども未来課は「非常に厳しい状況」と危機感を強めている。全国の出生数は、統計開始以来最少の86万5234人で前年比5万3166人減。初めて90万人を下回った。本県は9年連続で減り前年比550人減。県によると、出生数が最も多かったのは第1次ベビーブームの49年の6万1145人。女性1人が生涯に生む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は、本県は前年比0.02ポイント減の1.66。全国で4番目に高かった。国の第4次少子化社会対策大綱は、少子化の主な要因に未婚化、晩婚化を挙げている。県はこれまでに、結婚を望む20歳以上の独身男女を引き合わせる「お見合いシステム」や、婚活サポーター「縁結び隊」などを導入し、出会いの場を創出。不妊治療に取り組む夫婦に対して、初回の治療に上限30万円、2回目以降は上限15万円を助成し、年平均600回の利用があるという。県は2060年の人口100万人維持に向け、30年時点での県民の希望出生率2.08の実現を目指す。県こども未来課は「結婚から妊娠、出産、育児まで切れ目のない支援が重要。県民が希望通りに結婚、出産ができるような環境整備に引き続き取り組んでいきたい」と話している。