ふるさと納税で公立病院支援広がる 鳥取・日野病院


中山間地域の医療を守るため、鳥取県日野町がふるさと納税で始めた公立日野病院支援事業に賛同する輪が、じわじわと広がっている。昨秋の開始から36件143万5千円が寄せられ、問い合わせも後を絶たない。新型コロナウイルスの感染拡大で医療現場の負荷が増す中、病院関係者は「地域医療への関心を高める一助にしたい」と話す。日野病院(日野町野田、99床)は、鳥取県西部の日野、江府、伯耆の3町で構成する一部事務組合立のへき地医療拠点病院。院内の鳥取大医学部付属病院地域医療総合教育研修センターと連携し、患者の生活に寄り添う総合診療医の育成も担っている。医療圏は県西部の山間地だけでなく、岡山県北部地域をカバーするなど広範囲に及ぶ。ただ近年は少子高齢化や人口減少が顕著で、ポストコロナなどを見据えた医療供給体制の維持・確保が課題になってきた。このため病院は安定的な地域医療提供に向けた方策の一環として、財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)な日野町にふるさと納税活用を提案。議会の後押しもあり、町は昨年10月に寄付の使い道に日野病院支援事業を追加し、返礼品に同病院専用の脳ドック受診券(寄付金7万円以上)や人間ドック受診券(同10万円以上)を加えた。支援事業への寄付は徐々に裾野を広げ、2019年度のふるさと納税総額(467万2千円)の3割を占めるようになった。町企画政策課の担当者は「想定外の反響で、9事業ある使い道別で2番目に多い」と驚く。新型コロナ禍の対応に追われる日野病院の生田哲二病院長補佐は「医療を取り巻く環境は厳しさを増している。将来的な医療状況の悪化に備えて積み立て、住民の命と暮らしを守る地域医療維持に向け活用したい」と協力を呼び掛けている。

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