小林化工、異変検出も混入気付けず


小林化工(本社福井県あわら市)は12月12日、睡眠導入剤成分が混入し自主回収している経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」について、含有成分を確認する最終の品質試験で異変を検出しながら「厳密なチェックができていなかった」と明らかにした。また、混入は厚生労働省の承認を得ていない工程で、原料を取り違えたのが原因とした。同錠剤を服用して死亡した患者は、首都圏の病院に入院していた70代女性だと発表した。服用との因果関係を調べる。この日、小林広幸社長ら幹部が同社で報道陣の取材に応じ説明した。多数の健康被害に加え死者も出る事態に、小林社長は「重大な過失を犯し、責任を痛感している」と謝罪した。睡眠導入剤成分の混入があった錠剤について、小林社長は「品質試験による確認を精査すると、(混入に気付くことができた)可能性がある。厳密なチェックができていなかった」と述べた。今後、医薬品の品質に詳しい第三者機関を入れて原因を究明し、再発防止に努めるとした。同社は当初、同錠剤の品質試験の記録を確認したところ、本来はない成分の反応を検出していたが「通常では気にならない程度だった」と説明していた。同社によると、同錠剤を作る過程で、機械への付着などで目減りする原料を継ぎ足す際に、主成分と睡眠導入剤成分「リルマザホン塩酸塩水和物」の容器を取り違え混入した。混入した量は1錠当たり、睡眠導入剤で通常使用する最大投与量の2・5倍に及ぶ。原料の継ぎ足しは、厚労省の承認を受けた製造の手順書にはない工程で、同社幹部は「管理側が現場の実態を把握できていなかった」とし、第三者を通じ調査するとした。イトラコナゾール錠は、爪水虫やカンジダ症などの治療に用いる医療用医薬品。同社は2004年7月から製造・販売している。同社によると、混入があった錠剤を服用した患者で意識消失や記憶喪失、ふらつきなど健康被害の報告は、12日午前0時までで延べ134人となった。車などを運転中の事故は15件で、救急搬送や入院した人は33人。重複が判明し、事故と入院は前日より1減となった。

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