遺伝性乳がん卵巣がん症候群 予防的切除「効果的」 オンラインで静岡がんセンター公開講座


がん医療について学ぶ県立静岡がんセンター公開講座2020「がんと感染症の最新情報」(静岡新聞社・静岡放送主催、スルガ銀行特別協賛)の第2回講座が1日、オンラインで行われた。西村誠一郎乳腺外科部長が乳がん治療、庭川要副院長兼泌尿器科部長が泌尿器科がんをテーマにそれぞれ講演した。
 西村部長は、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)について解説した。原因遺伝子を保有していると70~80%が乳がんに、20~40%が卵巣がんにかかり、2分の1の確率で次世代に遺伝する。そのため、遺伝学的検査でHBOCかを判断し、乳房や卵巣・卵管の予防的切除を行うことは、がんの発症を抑える上で効果的だと説明した。
 今年4月、既にがんを発症していて、HBOCと診断された患者に限って、まだ病気になっていない乳房や卵巣・卵管の予防的切除が保険適用の対象になった。西村部長は大きな進歩だと評価した一方、未発症者にこそ恩恵が大きい治療法だとして、未発症者への保険適用が今後の課題と述べた。
 庭川副院長は、感染症に関係のあるがんとして膀胱(ぼうこう)がんを挙げた。水中で経皮感染する住血吸虫が発症に関係していると説明し、診断法やBCG投与による治療法について紹介した。
 第3回は29日で、テーマは「ピロリ菌と胃がん」「新型コロナ時代の心のケア」。

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