救急医療週間(6~12日)に合わせて和歌山県の田辺市消防本部は、病気やけがの緊急性を相談できる電話窓口「♯7119(田辺市救急安心センター)」の普及に努めている。医師や看護師らが相談に応じ、病院の受診や救急車を呼ぶかの判断を手助けしてくれる仕組み。利用者の安心や、救急車の適正な利用にもつながっている。市消防本部は、2013年度に「♯7119」の事業を導入した。対象地域は田辺市と上富田町。医療従事者が24時間体制で対応し「心配ないが何かあれば病院に行く」「今晩でなくても、昼間にかかりつけの病院に行く」など、症状に応じたタイミングでの受診を助言する。緊急度が高い場合は、すぐに「田辺西牟婁地区消防指令センター」に電話をつなぎ、救急車を手配する。夜間の対応など医療機関の負担を軽減することにもつながる取り組みで、全国でも同様の事業を11都府県、田辺市や札幌市、横浜市、神戸市など5地域が実施している。市消防本部によると、過去5年間の着信件数は15年度の1098件から19年度は1708件と約1・5倍に増加した。また、19年度は相談者の約2割が救急搬送や直ちに受診が必要な病態だったとし、隠れた重症者を発見して救急搬送につなげることにも役立っているという。担当者は「救急車を適正に利用してもらえれば、緊急度の高い傷病者をより早く病院に搬送することができる。健康状態や病気の症状、服用している薬、受診可能な病院など不安に感じる部分を幅広く相談できるので、判断に迷った際は『♯7119』を活用してもらえたら。ただ、意識がない、呼吸が苦しそうなど本当に緊急な場合はすぐに119番をしてほしい」と話している。■冊子作り病院に配布田辺市医師会や市消防本部、西牟婁振興局健康福祉部などでつくる「田辺市救急医療週間推進協議会」は、救急医療週間に先立ち、高齢者のけがやヒートショック、熱中症の予防などを記した冊子を作った=写真。「♯7119」も紹介しており、約200部を田辺市や上富田町の病院などに配布。手に取って読んでもらえるよう、待合室などに置いてもらっているという。