地震の危険、触って学ぶ 障害者支援団体、和歌山盲学校に教材贈る


視覚障害のある子どもたちに地震時の危険性をイメージしてもらおうと、「県障害者支援赤十字奉仕団 拡大写本 グループあかり」のメンバーらが21日、県立和歌山盲学校(和歌山市府中)に触って学べる防災教材を寄贈した。地震被害を再現できる教室模型で、盲学校の生徒を対象にした防災教材は珍しいという。同校は「生徒たちは物が倒れてくるなどの状況を想像しづらい。触って覚えることで避難訓練の際にも状況を想像しやすくなるのではないか」と話している。【木原真希】日本赤十字社では、2011年の東日本大震災以降、防災教育に力を入れており、開発した教材を全国の幼稚園・保育園、小中学校、高校などに無償提供している。県内でも複数校に提供してきたが、担当する日本赤十字社県支部(同市吹上2)の生地(おいじ)孝好事業推進係長は昨春、視覚障害者向けの教材がないことに気付いた。すぐに、和歌山盲学校や、盲学校の生徒らに教材や絵本を提供している「あかり」のメンバーに相談。教室内の棚が倒れてくる様子などを立体模型で再現した教材づくりを企画した。あかりのメンバーが作製に携わり、縦55センチ、横65センチのプラスチックボードを教室に見立てて、ミニチュアの机や椅子、本棚などを設置。揺らすと本棚や壁が倒れる仕掛けにした。布で作った小さな本が飛び出し、壁に掛けた時計も落下するなど、生徒たちがよりリアルに被害を感じられるよう、細部にまでこだわった。この日、あかりの4人が和歌山盲学校を訪れ、職員に完成した教材を手渡した。職員の南尚樹さん(50)は「もらった教材に触って覚えることで、どこに物を置いておけば災害時に安全かなどを具体的にイメージできるようになるのではないか」と期待した。「あかり」の榎純子代表(64)は「生徒たちが触っても安全なように慎重に素材を選んだ。低学年の子たちも遊びながら防災を学んでほしい」と話した。

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