アオサ成分で動脈硬化抑制 鈴鹿医療大、江南化工、三重大が研究成果発表へ


【鈴鹿】三重県の特産品の一つ「アオサ海苔(のり)(ヒトエグサ)」に含まれる水溶性食物繊維「ラムナン硫酸」に、動脈硬化を抑制する作用があることが、鈴鹿市の鈴鹿医療科学大学(髙木淳一理事長)と四日市市の化学工業薬品製造業「江南化工」(大谷淨治社長)、津市の三重大学(伊藤正明学長)による産学共同研究で、このほど分かった。6月の日本血栓止血学会で発表する。鈴鹿医療科学大の鈴木宏治副学長(76)を中心に、同大の平本恵一准教授、江南化工の寺澤匡博研究員、三重大の島田康人講師ら十人が研究チームとして、約3年かけて取り組んだ。鈴木副学長らはこれまでの研究で、ラムナン硫酸の血管内皮細胞の炎症抑制作用を確認しており、今回は血管の炎症によって引き起こされる動脈硬化を実際に抑制するかどうか、マウスを使って検証した。実験では、短期間で動脈硬化を起こす性質を持つマウスを4グループに分け、グループごとに「普通食」「普通食+ラムナン硫酸」「高脂肪食」「高脂肪食+ラムナン硫酸」の餌を12週間経口投与し、それぞれの動脈硬化生成を比較、解析した。解析結果から、ラムナン硫酸を摂取したマウスでは、高脂血症の改善に伴う中性脂肪やコレステロールの低下、動脈硬化に見られるさまざまな血管分子の改善などを認めた。研究成果は20ページにまとめ、スイスの学術専門誌「セルズ」電子版に昨年11月20日付で掲載された。鈴木副学長は薬学、医学博士として血管と血液に関わる病態解明などを専門に研究する。元三重大副学長。今回の研究を振り返り「ラムナン硫酸を豊富に含むアオサを食べることで、健康寿命の延伸に期待できる。また、アオサの養殖がさらに活性化し、地場産業の発展につながればうれしい」と話した。

関連記事

ページ上部へ戻る