梅の種をスイーツに 傘はAEDシートへ、再利用で価値アップ、和歌山


廃棄されていたものに手を加え、製品として生まれ変わらせる「アップサイクル」が注目されている。紀南でも意外なものが、再利用により付加価値を高め大変身している。■梅の種→スイーツ 和歌山県田辺市上芳養のレストラン田辺市上芳養のフランス料理店「キャラバンサライ」は、加工の過程で捨てられている梅の種を使ってスイーツ「梅仁(うめにん)豆腐」を開発した。梅の種の中にある白い「仁」は、中国料理のデザート「杏仁豆腐」に使う杏の種・杏仁とほぼ同じ成分だという。そこで梅の産地ならではのアレンジをした。種に含まれる毒素は除去。1瓶に仁を4粒使用している。南高梅のソースがかかっており、梅の風味が味わえる。種は梅加工会社から仕入れる。仁を取り出す工程は、地元で就労支援活動をするNPOに依頼。取り出した後の殻は、肥料として梅農家の畑に返す。店主の更井亮介さん(33)は「おいしさだけでなく、新しい循環を生み出すプロジェクト。食べてもらうほど梅の種の廃棄が減り、未来にちょっとずつ優しくなる」と期待している。梅仁豆腐は24日から田辺市稲成町の産直市場「よってって」いなり本館で販売する。1瓶(90グラム入り)394円。22日から28日まで、阪神百貨店梅田本店(大阪市)の和歌山グルメイベントでも販売する。■傘→AEDシート 駅の忘れ物で熊野高熊野高校(上富田町朝来)Kumanoサポーターズリーダ部は、AED(自動体外式除細動器)の使用時に上半身を覆うシートの作製に、JR紀伊田辺駅(田辺市湊)の「忘れ物の傘」を使用する。同部はこれまで500枚以上のAEDシートを作製し、AED設置場所に配布している。シートは縦約50センチ、横約90センチ。生地は水をはじくナイロンを使用している。材料費はシート1枚につき約1500円。物価高騰もあり、生地の確保が課題だった。田辺駅に集められる「忘れ物の傘」のうち、ナイロン製で状態が良く、シートの素材になるものが月20~30本程度あるという。保管期限(2週間)を過ぎたものは廃棄処分しており、同部から依頼で提供を決めた。13日に部を代表して3年の小杉奏音さん、2年の木村帆波さんと坂井ひなたさんの3人が田辺駅を訪問し、AEDシートの製作や配布について説明した。東耕太郎駅長は「廃棄物の再利用は、SDGs(持続可能な開発目標)につながる。命を大切にする活動で積極的に取り組みたい」と話した。小杉さんは「頂いた傘を大切に作り替え、役立てたい」と感謝した。

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