福井県済生会病院(福井市)は、めまいと難聴、補聴器診療に対応する三つの外来で構成する「めまい・難聴センター」を開設した。補聴器外来は専門医と言語聴覚士が連携して調整をサポートし、3カ月間のトレーニングを行うのが特徴。担当医は「関係性の強い難聴とめまいをフォローすることで、認知症予防にもつなげたい」と話している。同病院は2014年に「めまい外来」を開設し、これまでに延べ3千人を診察してきた。めまいの発作を反復するメニエール病の患者の場合、聴覚障害を併発するケースも多いことから、新たに「難聴外来」と「補聴器外来」を設置。耳鼻咽喉科内に三つの外来を連携させた「センター」を発足した。難聴外来では、言語聴覚士による聴力検査や医師による診察をして、適切な治療を提案。補聴器が望ましいと医師が判断し、患者が希望する場合は補聴器外来を受診してもらう。補聴器外来では補聴器適合検査などを行い、補聴器を実際に使用するリハビリ療法に入る。最初の3カ月間は無料で補聴器を貸し出し、徐々に最も聞こえが良くなる音量まで調整。常時装着することの重要性についても医師がアドバイスする。担当する耳鼻咽喉科副部長の清水良憲医師によれば、補聴器を装着し聞き取りやすい音量に調整していくには、一定期間のトレーニングが必要で「まずは『快適さ』より『聞こえ』を優先して脳に刺激を与えていく」という。補聴器の使い始めはうるさく感じるが、医師の指導の下で聞き取りに十分な音量に慣れていくようにする。センターには専門医2人と言語聴覚士1人を配置。めまいと難聴の外来は毎週水、木曜に初診を受け付け、補聴器外来は予約制とする。清水医師は「難聴は認知症のリスク因子であり、社会的孤立を招く要因にもなりかねない。めまいと難聴に悩む人を幅広く診察し、QOL(生活の質)向上に貢献したい」と話している。