神経線維腫症2型の治験成功へ参加を 福島医大など全国10施設


福島医大脳神経外科学講座は、難病の「神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)2型」に対し、脳腫瘍などに使われる薬「ベバシズマブ」が有効かどうか調べる治験を行っている。治験を成功させるにはこの病気の患者60人に参加してもらう必要があるが、新型コロナウイルスの影響もあり、まだ三十数人にとどまっている。同講座は「これまで治療薬はなく、実用化されれば患者にとって福音となる」と広く参加を呼び掛けている。神経線維腫症2型は、両側の聴神経などにたくさんの腫瘍ができてしまう珍しい難病で、講座によると2013(平成25)年の調査で国内に807人の患者がいる。有効な薬がなく、外科手術や放射線治療が行われているが、聴神経の腫瘍に対して手術や放射線治療が行われると、聴力が失われるケースが多い。ベバシズマブは悪性神経膠腫(こうしゅ)(脳腫瘍)などに対してすでに承認されている薬で、点滴で投与する。神経線維腫症2型に対する有効性を示す報告が海外であり、福島医大でも小規模な臨床試験で一定の効果と安全性を確認している。聴力が改善したり、腫瘍が小さくなったりする効果が見られたという。今回、薬の効果と安全性の証明のため脳神経外科学講座が事務局となり「医師主導治験」を行うことになった。治験には、神経線維腫症2型と診断された患者で、完全に聴力を失っていないなど、一定の条件満たした人が参加できる。希望する患者が治験に臨む施設は全国に10施設。19年10月から順次始まっているが、参加者の数は目標に届いていない。新型コロナウイルスの影響で県をまたぐ移動の自粛が呼び掛けられたり、受診控えの動きがあったりすることが影響しているという。参加募集期間は今月までだが、延長する方向で検討している。講座の斎藤清教授(64)と藤井正純准教授(54)が研究代表者を務めている。藤井准教授は「聴力を失わずに済むかもしれない画期的な治療法だ。治験参加者自身の恩恵も大きく、治験の情報を広く患者に届けたい」と話している。治験への問い合わせはメールアドレス(beatnf2@fmu.ac.jp)へ。

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