iPS細胞から高品質の軟骨細胞作製 京都大学などのグループ成功


ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から高品質の軟骨細胞を作製することに成功した、と京都大学iPS細胞研究所などの研究グループが発表した。大きな軟骨組織を作ることが可能で、膝の関節軟骨の損傷などの治療につながる可能性があるとしている。軟骨は一度損傷すると修復が難しい組織で、iPS細胞を使った再生医療研究が進んでいる。研究グループは、iPS細胞を神経や骨などの元になる「間葉系幹細胞」を経て軟骨細胞に分化させた。直径0・5ミリ程度の軟骨細胞の塊を隣り合わせたところ、1日後にくっつきはじめ、7日後には完全に融合することを確認した。京大の別グループが別の手法でiPS細胞から軟骨細胞を作り、膝関節の軟骨を損傷した患者へ移植する臨床研究計画が2020年に厚生労働省に承認されているが、この手法よりも今回は細胞同士の結合力が高かったという。同研究所の池谷真准教授は「細胞の結合力の高さから安定して大量に製造でき、バイオ3Dプリンターの利用に適している。今後は関節全体を覆うような大きな軟骨組織を作る研究を進めたい」と話している。5月、国際学術誌にオンライン掲載された。

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