がん患者のウィッグ助成へ 人工乳房も、外見変化の悩みケア 兵庫県


抗がん剤の副作用による脱毛などに悩むがん患者を支えるため、兵庫県は2021年度、医療用ウィッグ(かつら)の購入費などを一部補助する制度を創設する方針を固めた。特に「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる30代までの若年層や働き盛りの世代は、外見の変化に精神的な負担を感じる患者が多く、金銭支援を図ることで生活の質(QOL)の向上を目指す。県によると、近畿2府4県では初の取り組みという。県内で1年間にがんを発症する人は約4万5千人とみられるが、医療技術の進歩によって、生存率は年々上昇。県によると、乳がんの場合、5年生存率は92・6%に上るという。一方、手術により乳房を切除したり、抗がん剤で頭髪が抜け落ちたりした患者は、学校や職場などで周囲の視線が気になり、学業や仕事に専念できなくなったり、復帰を断念したりするケースがあるという。さらに、10万円以上するウィッグや人工乳房を自費購入する患者も多いことから、県は経済的な負担を軽減するとともに、心理的な面でも患者をフォローするため、新制度の導入に踏み切る。かつらだけでなく、人工乳房や乳房を保護する補正下着も対象にする。対象は、前年の所得額が400万円未満のがん患者で、性別や年齢は問わない。県・市町と利用者が、購入額の半額ずつを負担する。県の担当者は「がんになっても生き生きと社会で活躍できるよう患者を支えたい」と話している。(藤井伸哉)

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