40~74歳が受ける特定健康診査(メタボ健診)や、生活習慣の改善を図る特定保健指導の効果は、1年後に肥満がわずかに改善する程度で、心臓や血管の病気のリスクは低減しない――。京都大の福間真悟准教授(臨床疫学)らが大規模な健診データの解析からこんな結果をまとめ、5日付で米医師会の内科学誌電子版に発表した。生活習慣病予防のためとして年間約2800万人が受診し、数百億円の費用がかけられている制度だが、福間さんは「費用に見合った効果を出せていない。制度の改善が必要だ」と指摘した。男性は腹囲85センチ以上か体格指数(BMI)25以上で血圧、血糖、脂質に異常が2つ以上あるとメタボリック症候群、1つだと予備軍とされ、保健指導の対象になる。チームは2014年に健診を受けた約7万5千人のデータから、腹囲の基準85センチを少し超えて保健指導の対象になった人と、少し下回り対象外だった人を約2万人ずつ抜き出した。2つの集団は指導の対象かどうか以外の特徴がほぼ同じで、比較すれば指導の効果が検証できることになる。1年後の肥満度を比べると、保健指導の対象になった集団では、体重が290グラム、BMIが0.1余計に減っただけ。この差も3年後には消えてしまった。腹囲のほか、脳卒中や心筋梗塞に関連する血圧、血糖値、悪玉コレステロール値の改善具合には違いがなかった。効果が薄い原因は、保健指導の対象者のうち受けたのは16%と参加率が低い、内容が効果的でない、腹囲85センチでは健康な人が多く含まれ、改善効果が表れにくい――ことが考えられるという。〔共同〕