東京都世田谷区は、区内すべての介護施設職員や保育士ら計約2万人を対象に、発熱など症状の有無にかかわらず、新型コロナウイルスのPCR検査を一斉に行う方針を固めた。総額約4億円の費用は公費負担とする。厚生労働省によると、自治体による無症状者への大規模検査は異例。区幹部らによると、検査対象は、区内で勤務する介護職員や保育園・幼稚園の職員、特別養護老人ホームの新規入所者。9月開会の区議会定例会で関連事業費を盛り込んだ補正予算案が可決されれば、区は施設ごとに希望者を募り、検査を開始する。検査完了には約2か月かかるとみている。区内では、区医師会と世田谷保健所が1日最大300件を検査している。ただ、対象は発熱などの症状があり、医師や保健所が必要と判断した人や、感染者の濃厚接触者に限られている。区内の累計感染者数は1565人(22日時点)に上り、幼稚園や福祉施設20か所以上で感染者が出ている。区は、無症状者が自覚のないまま感染を広げている可能性があるとして、一斉検査が必要と判断した。保坂展人区長は7月下旬、「いつでも、どこでも、何度でも受けられる『世田谷モデル』を目指す」と表明。複数人の検体を混ぜてまとめて検査し、陰性の場合は全員を陰性と判断する「プール方式」を導入し、検査能力を1日3000件に向上させる考えを示している。