診療報酬改定で「便乗値上げ」? 生活習慣病の診療代が1000円アップ なぜ?と指摘したら、後日返金に


6月の診療報酬改定に合わせて生活習慣病の診療代の頻回な請求を取り上げた連載第3部に、多数の情報や意見が寄せられた。改定後は「医療費が値上がりした」「薬の長期処方やリフィル処方を断られた」という声が今なお届く。問題をもう一度追った。(杉谷剛が担当します)「6月の受診の際、医師から『診療報酬改定があって値上がりするんですよ』と言われました。精算すると、1000円近く上がったので驚きました」関西に住む50代の女性は高血圧で、1年ほど前から自宅近くのクリニックに月1回通院していた。5月の診療代は、生活習慣病などの継続治療で請求される「特定疾患療養管理料」2250円(診療報酬点数225点、1点10円)など計5060円。自己負担は3割で、窓口で1520円を支払った。ところが、6月の支払いは2470円と、診療内容は同じなのに950円もアップした。診療明細書を見ると、特定疾患管理料の代わりに「生活習慣病管理料(Ⅰ) 高血圧症を主病」(6600円)という新しい項目があった。女性がネットで、この診療報酬を調べると、多くの診療所や中小の病院が同じような「お知らせ」をホームページに載せていた。「6月に『特定疾患管理料』の対象から糖尿病、高血圧症、脂質異常症が除外となり、厚生労働省の指針に従い、該当の患者様は新たに『生活習慣病管理料(Ⅱ)』へ移行します」(Ⅱ)は3330円と(Ⅰ)の半額だ。「どうして私は(Ⅱ)ではなく、(Ⅰ)を請求されたのかしら」。女性は疑問を持った。新たに登場した(Ⅰ)は検査や注射、病理診断などがパッケージされている包括料金。検査が多ければ割安だが、少なければ割高となる。一方、(Ⅱ)は検査などを含まず、実施のつど加算される出来高払いだ。女性は検査をしたことがないのに、なぜ(Ⅰ)を請求されたのか、医師から説明はなかった。「きちんとした説明もなしに、年1万2000円の値上げは納得できない」。次回に説明を聞こうと、次のような手紙を事前に受付に託した。「私は血圧測定と問診以外に検査などは受けておらず、今回その費用が上乗せされ、包括となる理由が見当たりません。(Ⅱ)で算定されるべきだと考えます」6月下旬に女性が再受診すると、院長が応対した。女性が説明する。「院長先生から『お手紙を読みました。(Ⅱ)にしたいんですね。訂正します。すみません』と言われ、新しい明細書を受け取りました。差額の980円が現金で返ってきましたが、黙っていたらそのままだったでしょう。これって便乗値上げじゃないですか」◇連載へのご意見や情報をお寄せください。メールはsugitn.g@chunichi.co.jp、ファクスは03(3593)8464、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞社会部「医療の値段」へ。

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