【第57回日薬学術大会】分科会の見どころ・聞きどころ 多職種連携で支える地域医療-地域連携薬局による心不全患者への支援


第57回日本薬剤師会学術大会座長
日本薬剤師会常務理事
村杉紀明
埼玉県薬剤師会副会長
畑中典子超高齢社会を迎えている我が国において、心不全患者数は120万人を超え、心不全入院者数は年に30万件以上といわれている。心不全は急性増悪を繰り返すことによりADL/QOLの低下を来し、その患者を支える家族の負担も大きい。そのような中、24年診調剤酬改定において調剤後薬剤管理指導料2が新設された。この背景にあるのは、病院薬剤師から確度の高い情報が提供される臨床的価値と、再入院の約半数にも上ると言われる患者の課題(疾患やセルフケアの理解度、等)に薬局薬剤師が寄り添いフォローアップすることで大きな効果が出ることへの期待であろう。本分科会では、基調講演として東京医科歯科大学総合診療科の石田岳史氏から、多職種協働で心不全患者を支える価値について地域連携パスの運用事例等を紹介いただくと共に、地域の薬剤師への期待を講演いただく。続く3講演の1講演目は厚生労働省医薬局総務課の小川雄大氏から、地域包括ケアシステムを機能させるために必要とされる薬剤師の対人業務について、医療計画における5疾病に係る事例や対応ガイドライン等の役立つ情報を、2講演目は病院薬剤師であるさいたま市民医療センター薬剤科の中村眞梨氏から、病院が提供する心不全治療退院情報提供書や薬局が活用する心不全フォローアップシートなどの実際に運用してきたツールの紹介と共に今後の課題等について、3講演目は薬局薬剤師であるつなぐ薬局柏の鈴木邦彦氏から、多職種連携を含む地域医療を担う薬剤師の役割を実際の心不全患者へのアプローチ等について講演いただく。どの講演も明日の業務に生かせる内容、目の前の患者や家族、地域を変えることができる内容ばかりで興味深い。最後のパネルディスカッションでは、心不全患者にかかる情報連携を行う上でのポイントや地域連携の目指す姿、フォローアップやアセスメントのポイントなどについて参加者と理解を深める機会としたい。(村杉紀明)

関連記事

ページ上部へ戻る