厚生労働省は2024年4月の介護報酬で人件費の地域差を調整する地域区分に新たな特例を設ける考えを示した。「隣接市町村とのバランスを考慮して公平性を確保するため」としている。地域区分は現在「1~7級地」と「その他」の計8区分あるが、「その他」の区分が隣接する区分のうち1カ所以外すべて高い区分に囲まれている場合、その高い区分の中で一番低い区分の範囲内で変更できるようにする。また、低い区分に囲まれている場合(高い区分とは隣接していない)、その低い区分の中で最も高い区分に変更することも認める。さらに、隣接する区分の中に5区分以上の差がある場合、差が4区分になるまで引き上げ、または引き下げができるようにする。特例案は9月15日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示された。委員からは「級地の変更は事業所の経営、保険料、利用者負担、自治体の財政負担に影響を与える。対象地域の意向を確認しつつ慎重に検討してほしい」(全国知事会の大石賢吾氏の代理、新田惇一・長崎県福祉保健部長)、「地域区分の設定が町村部、中山間地域の人材確保にどのような影響を及ぼしているか検証が必要」(全国町村会の米本正明氏)との発言があった。実際の地域区分による人件費の上乗せは、級地ごとの上乗せ割合(例=1級地20%、2級地16%など)にサービス別の人件費比率(例=訪問介護70%、特別養護老人ホーム45%など)を乗じた数値になる。東京23区の特養の場合、上乗せ割合20%と人件費比率45%を乗じた9%となる。この算定方法に対して「人件費比率は事務職員、清掃員、運転手、給食調理員などの給与を除外した不十分なもの。モデル的な基準上の人件費比率を示した上で検討すべき」(全国老人福祉施設協議会の古谷忠之氏)との指摘もあった。The post 介護報酬の地域区分に新特例案 厚労省「公平性を確保」 appeared first on 福祉新聞Web.