常温輸送「粉末ワクチン」へ新装置 日本企業が新技術開発


世界で新型コロナウイルスワクチンの争奪戦が繰り広げられる中、日本の企業が液状のワクチンを凍結、乾燥させて粉末状にする新たな装置を開発した。新型コロナワクチンは低温管理が必要な液剤が主流で、接種にあたっては保管と輸送が大きな課題となっているが、新装置により常温管理が可能となる粉末ワクチンの実用化が視野に入る。新装置を開発したモリモト医薬(大阪市)の盛本修司社長によると、新装置は昨年10月に特許を取得。今後、ワクチンを開発・製造する国内外の製薬企業との共同事業による実用化を目指す。新装置は、液剤を装置上部にあるノズルから噴霧して真空凍結機で小さなパウダー状に凍結。その後、真空の横型ドラムの中を移動し乾燥させる。センサーでドラムの各区画での粉末の温度が一定になるように制御し、高品質な粉末製剤を連続して大量に数時間で生産できる。装置内の棚に瓶に入った液剤を並べて乾燥させる従来の装置に比べ、同じ設置面積ならば生産能力は10倍に増加し、年間数億回の投与分の生産が可能となるという。盛本社長は「日本発の新技術でワクチン供給の役に立てれば」と話している。日本政府は米製薬大手ファイザー(1億4400万回分)、英製薬大手アストラゼネカ(1億2000万回分)、米バイオ企業のモデルナ(5000万回分)からワクチンの提供を受けることで基本合意している。ファイザー製は零下75度、モデルナ製は零下20度の低温管理が必要となる。

関連記事

ページ上部へ戻る