子宮体がんに新しい診断法 腫瘍の全体像を調べやすく


子宮体がんの進行度を正確に予測できる可能性がある診断法を開発したと、福井大医学部産科婦人科学の吉田好雄教授(60)らの研究チームが発表した。さらに研究が進めば、どの程度までの手術を行うべきかや、抗がん剤投与の必要性などを見極められるため、患者に応じた適正な治療の選択につなげられるという。吉田教授によると、子宮体がんは子宮の内膜に悪性腫瘍(しゅよう)が発生する病気。患者の年齢層は幅広く、中でも中年の女性がかかりやすいとされる。晩婚化や食生活の欧米化などの影響で、ここ20年で国内の患者は約5倍に増加し、年間約1万6千人が診断されている。早期発見できれば、完治率は高いという。従来のやり方は、子宮体がんと診断されると病巣から一部の組織を採取し、病理検査で悪性度を調べる。が、このやり方では腫瘍の全体像は把握できず、転移や再発の可能性を正確に判断するのが難しい。そのため、手術では転移の可能性を考慮し、早期の進行度でも子宮全摘出に加え、子宮周りのリンパ節の切除までを行うケースが約7割という。リンパ節の切除は歩行困難になるまで足が腫れるなど、体に重い負担がかかる。ただ、実際にリンパ節に転移していたケースは数%程度といい、患者の術後の生活を守るためにも、手術の内容を見極めることが重要という。研究チームは、子宮体がんのリンパ節転移や予後に関係するとされるたんぱく質の一種に着目。患者67人に特殊な薬剤を投与し、細胞の活動状況が分かる画像診断「PET検査」でたんぱく質の働きを調べた。その結果、このたんぱく質の働きが悪いと再発や転移の可能性が高いという傾向が分かったという。PET検査を取り入れることで、一部の細胞で診断する病理検査よりも、腫瘍の全体像を調べやすくなるという。治療前にPET検査を行えば、手術はリンパ節の切除まで行う必要があるのかや、術後の抗がん剤投与は必要かなど、患者に適正な治療を行える可能性があるという。今回の研究成果は昨年10月、米核医学会誌の電子版に掲載された。開発した診断法の信頼性を高めるため、今後もさらに症例数を増やしていくという。吉田教授は「子宮体がんの手術は、その後の日常生活に大きく影響します。この研究成果が患者さんの希望につながってほしい」と期待している。(大西明梨)

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