iPSがん治療 最初の患者退院 計画通り治験終了 千葉大


人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した「NK(ナチュラルキラー)T細胞」という免疫細胞をがん患者に移植する世界初の治験について、千葉大と理化学研究所のチームは17日、1人目の治験が計画通り終了したと発表した。治験を行った患者は、口やのどなどの「頭頸部(とうけいぶ)」にがんができ、抗がん剤などの効果がなかった50代の男性。千葉大付属病院で10~11月、数回にわたってNKT細胞を移植した。治験の妨げとなる有害な症状はなく、既に退院した。今後2年間、経過を観察して安全性や有効性を確かめる。治験は計4~18人に実施する計画で、来年2月頃に2人目を開始する。治験では、リンパ球の一種で、がん細胞を攻撃する働きを持つNKT細胞を健常者から採取し、iPS細胞を作製。ここから再びNKT細胞を作って大量に培養し、患部に移植した。頭頸部がんは鼻や口、のどなどにできるがんの総称で、国内患者は推定で数万人。NKT細胞を患者から採取して増やし、体内に戻す治療法もあるが、この細胞は体内にわずかしかなく増やすのに時間もかかる。iPS細胞を使えば十分な量で迅速に治療できると期待されている。

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