外傷による「変形性膝関節症」に有効 京大が化合物を開発 実験で効果確認


京都大で開発された化合物が、外傷による変形性膝関節症の予防効果を持つことをラットの実験で確認したと、京大のグループが8日発表した。ヒトの変形性膝関節症への応用も期待できるという。成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。変形性膝関節症の患者は国内で2300万人。加齢で起こる場合が多いが、1割は外傷などをきっかけに発症する。症状が悪化すれば人工関節に置き換える手術が必要になるが、進行を抑える有効な薬は少ないのが現状という。京大医学研究科の西谷江平助教らは、生命科学研究科の垣塚彰教授らが開発した細胞を保護する性質を持つ化合物「KUS121」の同関節症への応用を検討。あらかじめ膝関節に損傷を与えたラットにKUS121を注射し2~4週間後の膝の状態を観察した。その結果、KUS121を投与すると軟骨損傷の進行を抑える効果があることを確認。さらに細胞レベルの実験で、軟骨細胞が死ぬことを防ぎ、軟骨の基質を分解する酵素の産生を抑えていることが分かった。西谷助教は「今回の研究をさらに発展させ、変形性膝関節症の患者さんの助けとなる薬の開発を目指したい」と話した。

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