身体や認知機能が低くなった状態「フレイル」(虚弱)の程度を診断するフレイル健診の実証事業が、今月14日に男鹿市であった。市内の脇本地区に住む70~87歳の男女13人が参加し、身体機能などを測定。管理栄養士らから助言を受けた。3カ月後にも同じ健診を受け、改善されたかどうかを確認する。今回行われたのは、歩行やバランス能力を測る身体機能測定、筋肉量などを調べる身体測定、体の状態をチェックする問診の3点に新たに口腔(こうくう)測定を加えた「新フレイル健診」。地域の要介護者を減らす試みとして注目されており、経済産業省から補助金を受けて開発業のアルファシステム(秋田市)が行った。国の事業としては全国初の実施となった。口腔測定では、唇を閉じて発音する「パ」や舌先を上あごにつける「タ」などを一定の時間内で連続して何回言えるかを測ったり、小さい風船のような球体を舌で押しつぶして舌圧(舌の力)を試したりした。これにより、食べ物をのみ込む力が分かるという。1時間半ほどで健診を終えるとその場で判定結果が報告され、参加者は在宅保健師や管理栄養士から食事や運動のアドバイスを受けた。バランスのよい食事をとるよう指導されたという保坂力さん(73)は「参考になる。毎回受けて健康を維持したい」と話した。アルファシステムの佐藤嘉晃(よしてる)・代表取締役は「秋田県の健康寿命日本一のために貢献したい。各市町村の介護費削減にもなると思う」とアピール。男鹿市内ではさらに4カ所で健診を予定しており、東日本を中心にほかの自治体にも広めていきたい考えだ。(高橋杏璃)