運動不足は「海自体操」で解消? 覚えられないので短縮


生活習慣の改善が必要な人の割合が京都府内でもっとも高い舞鶴市が、地元に駐在する海上自衛隊の手を借りることにした。隊員らが日ごろから実践している伝統ある体操を、市民向けに紹介していく作戦だ。23日に動画サイト「ユーチューブ」で公開する。紹介するのは「海上自衛隊体操」。海自舞鶴地方総監部によると、約90年前、旧日本海軍がデンマークの体操を参考にして考案した「海軍体操」を、1960年ごろに海自が改良したものだ。市は今月10日、同総監部や護衛艦が停泊する北吸岸壁などで隊員らに実演してもらい、撮影。分かりやすい説明文を加えて、編集している。動画は23日午前10時から、「ユーチューブ」の市公式チャンネルや市特設サイト(https://note.com/mysco)で公開する。こうまでするのは、市が市民の運動不足にとても悩んでいるからだ。2014年の特定健康診査の受診者のうち、生活習慣の改善を促す「特定保健指導」の対象者の割合が、府内15市で最も高かった舞鶴市は、スーパーと一緒にヘルシーな総菜作りに取り組むなど、あの手この手で市民の健康づくりを推進している。その一環で、海自の健康法に目をつけたのだ。海自も「運動不足の解消に役立てるならば」と全面協力することに。ただ、問題があった。この体操がややこしいのである。ラジオ体操は第3まであるが、海自体操はなんと第5まで。「準備・整理」「呼吸や循環機能の向上」「筋力の向上」「機敏性の向上」など、それぞれのテーマに基づいて、ひざを曲げ伸ばししたり、体をよじったりと、狭い艦船の中でも取り組めるよう工夫されているが、覚えるのが大変なのだ。後になるほど、ペアで取り組む運動や、よりハードな運動も含まれる。そこで、市民向け動画では第1だけを紹介することにした。本来は7分ほどかかるが、気軽に取り組んでもらえるよう動作の回数を減らすなどして、約5分で終わる市民バージョンを考案した。実は海自でも、起床時や午後の業務開始前など、日常的にやっているのは第1のみ。「第2以降は、一般隊員にあまりなじみがない。私も昔教わったことをうっすらと覚えているぐらいです。ただ、第1だけでもしっかりとやれば、汗がにじみます」同総監部の広報担当者はそう説明する。大事なのは体を動かすこと。市健康づくり課の担当者は「屋外へ出る機会が少なくなっていると思うので、自宅などで気軽に挑戦してみて」と話している。(大久保直樹)

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