青森県弘前市は、救急車で搬送する患者の症状などを救急病院と瞬時に共有できるシステムの実証運用を始めた。救急隊が使うスマートフォンに専用のアプリを導入し、現場到着直後から病院と情報を共有。治療開始までの時間短縮や搬送先の適切な選定にどれだけの効果があるのか検証し、来年度の本格運用をめざす。同市など8市町村を管轄する弘前地区消防事務組合の救急車全15台にアプリが導入され、弘前大医学部付属病院や弘前脳卒中・リハビリテーションセンターの医師らが使うタブレットと情報を共有する実証運用が3日から始まった。ほかの3病院でも準備を進め、9月から市内の計5病院と連携する。導入したアプリでは、心電図やけがの状況を画像や動画で簡単に送信でき、チャット機能やテレビ電話で医師とやりとりできる。また、隊員が入力した患者の状態から脳卒中の発症確率や重症度をアプリが判定し、病院と情報を共有する。素早く正確に情報を伝えることで、病気の種類や重症度に応じて適切な病院への搬送につなげるほか、病院での迅速な治療開始も期待できるという。今年度末までに導入効果の検証結果をまとめる方針で、同組合消防本部の小山内健介救急係長は「様々な情報をダイレクトに伝え、医師が介入して病院到着前に準備を整えられる。的確な搬送で市民の命を守りたい」と話した。(林義則)