【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】パナプラス薬局能見店(ユヤマ)


パナプラス薬局能見店愛知県岡崎市内を中心にパナプラス薬局の屋号で6店舗の調剤薬局を展開するパナドーム(代表取締役藤井伸昌氏)。同社薬局店舗の中でも在宅医療を中心に展開するパナプラス薬局能見店では、一包化調剤など対物業務の効率化に向け、昨秋からユヤマの鑑査支援機能付き全自動錠剤分包機PROUD-i(プラウドアイ)を導入した。機械化を進めることで、薬剤師が在宅訪問等へ費やす時間などの確保に努めている。同社は「なんでもない“ふだん”に、幸せをお届けする」をミッションとして掲げる。薬局事業以外にも福祉施設・新築住宅・住宅リフォームのプランニング、設計、施工なども手がけている。2009年に先代から電気工事関係の社業を承継したのを契機に、薬局事業を一からスタートした。薬剤師でもある藤井氏は「当社のミッションを達成できる事業を地域で展開していくことにトライしている」と語る。プラウドアイ導入は、店舗内作業の効率化につながったというパナプラス薬局能見店が取り扱う医薬品は約1200品目。薬局事業の中でも在宅部門との位置づけで、施設や個人の在宅医療への対応を中心に展開する。岡崎市・幸田町エリアでは希少な無菌調剤室(クリーンルーム)を完備しているのも特徴の一つ。一方で、増加する在宅医療のニーズへ対応していくには、薬剤師スタッフが行う対物業務としての一包化調剤業務の作業上の負担軽減も課題となっていた。そうした中、藤井氏はユヤマから22年10月に発売された「プラウドアイ」に着目していた。同機は内蔵されているカメラでの撮影による鑑査支援機能と先進のカセット機構を融合した全自動錠剤分包機である。分包する直前に上下のカメラで薬を両面から撮影するため、分包紙の種類や印字、ミシン目などの影響を受けずに薬自体の撮影が可能。撮影した画像は、薬の持つ色調、形状、サイズといった要素を分析して、表面、裏面を横一列に整列表示する。また、両面撮影のため、画像を目視で判別することも容易にできるほか、数量違いや不明薬を色分けして表示することもできる。照合NGなどで再分包が必要な場合も、鑑査結果画面からボタン一つで簡単に再分包ができるといった特徴を有する。藤井氏藤井氏は「在宅医療を行う上で、調剤だけでなく、調剤後に薬剤師が現物を見て最終鑑査を終わらせなければ、カレンダーの薬のセットなど、薬を持って行くための作業ができなかった。薬剤師の数も限られており、在宅訪問中の薬局不在時には、次のステップに進めないため、作業が途中で止まってしまうことが最大の課題だった」と振り返る。その上で「薬剤師が介入しない状態で、どこまで完成に近づけるかという点で、まさに、一番求めていた機械が出たと思い、昨年10月に導入を決めた」と話す。プラウドアイの発売以前は、全自動錠剤分包機のほかに、鑑査支援装置を別途導入する必要があった。また、機器のコスト面以外にも、それら2台分を設置するスペースの確保のほか、分包機から払い出された一包化品を鑑査装置に読み込ませるといった作業工程も必要だった。プラウドアイの登場で、調剤室内の機械スペース減や人員配置減にもつながるというメリットがある。導入から約半年が経過した。現状について藤井氏は「一包化とその鑑査を合わせて自動で行えることは、圧倒的な店舗内作業の効率化につながっている。今は、プラウドアイがある前提で業務フローの見直しも行っている」とし、効率的に薬剤師スタッフが在宅訪問できる体制の構築を図っていく考えを示す。続けて「特に薬剤師にしかできない在宅訪問、多職種との連携など、薬剤師スタッフがそこへ時間を割けるようにすることが目下の目標」とする。そうした時間創出は従来、薬剤師個々人の作業スキルに依存していた部分だが、これからは、どの薬剤師でもしっかり取り組める時間が確保できる環境を整えていきたい考えだ。プラウドアイ自体の性能については「かなり高いと改めて感じている。従来、必要だった作業が要らなくなったのが大きい。また、カセット機構の活用によって、手まき作業が発生することも非常に少なくなった」と感想を語る。藤井氏は、社業を承継するまでは調剤チェーン企業で薬剤師として勤務。その経験から、「これまで薬剤師の居場所は調剤室だった。調剤室で薬歴を記載して、患者が来ると表に出ていく。対人業務の強化が叫ばれる昨今、薬剤師は服薬指導、服用後のフォローアップ、多職種連携、訪問時報告を迅速に行うといった業務も多くなる。薬剤師が調剤室で対物業務に従事するのではなく、調剤室はイコール機械室くらいのイメージを持つことが必要と思う」との考えを示す。昨今、調剤業務の一部外部委託が一包化に限り国家戦略特区を活用して大阪市内で解禁となった点を引用し、藤井氏は「われわれは、調剤室にある機械にアウトソースしているイメージ」と語る。能見店の場合、薬局業務の効率化によって薬剤師の対物業務を軽減し、在宅医療などの業務の拡充にもつなげていくためにプラウドアイを活用している。一方で、藤井氏は薬局全般のあるべき姿として、「処方箋が薬局への入場券になっているイメージを覆すサービスを展開していくことが必要。ICTやIoTを活用したデジタル化を進めながら、医療のファーストアクセスとして薬剤師が前面に出ていける環境を作るためにも、調剤業務の効率化は課題。今後、プラウドアイの他店舗での導入も視野に、シンプルな業務フローによる生産性を高めていくことに取り組んでいきたい」と展望している。パナプラス薬局能見店(ユヤマ)
https://www.yuyama.co.jp/

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