出産育児一時金増額の財源、高齢者も負担 政府が検討


政府は、2023年度から増額する方針の「出産育児一時金」について、財源を高齢者にも負担してもらう検討を始めた。少子化対策を幅広い世代で担うことを狙い、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度を通じて負担を求める。29日に開かれた社会保障審議会医療保険部会(厚生労働相の諮問機関)で、医療保険改革に関する本格的な議論が始まった。28日にあった全世代型社会保障構築会議で示された論点を中心に年内に部会としての意見をとりまとめ、来年の通常国会に関連法の改正案を提出したい考えだ。出産育児一時金は、岸田文雄首相が大幅な増額を表明している。健康保険法などに基づく保険給付で、現在は原則42万円が支給されている。健康保険や国民健康保険などの保険料が原資で、後期高齢者医療制度に入る75歳以上の負担は原則的にないが、28日の全世代型社会保障構築会議では、出産育児一時金について「医療保険全体の中で支え合う」との方針が明記された。増え続ける医療費の公平な負担の観点から、同会議では75歳以上の保険料負担についても今後妥当性を検討する。比較的収入が高い人の保険料の引き上げや、後期高齢者医療制度の医療費の財源の4割を賄っている現役世代の支援金のあり方を話し合う。このほか、会社員が加入する健康保険組合について、財政状況などの格差を是正する策についても論点となる見通しだ。【神足俊輔】

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