福島医大医学部病態制御薬理医学講座の三坂真元(しんげん)講師(41)は、日常的に緑茶を飲む高血圧患者が降圧剤「ナドロール」を服用した場合、血圧を下げる効果が抑制されるとの研究結果をまとめた。緑茶に含まれるカテキンの一種がナドロールの体内吸収を抑えていると考えられ、服用中は緑茶の摂取を避けることが望ましい、としている。ナドロールは医師の処方が必要な錠剤薬。共同研究者で同講座の下村健寿主任教授(50)は、メタボリック症候群の割合が高い本県では降圧剤を服用する高血圧患者も多いため、効果的な薬の服用方法につながる重要な発見と指摘する。三坂氏は「普段の食生活を見直すきっかけにしてほしい」と話している。三坂氏は、健康な成人にナドロールを水または緑茶で服用してもらった後に採血し、ナドロールの血中濃度を比較した。その結果、緑茶は水に比べて最大70~80%ほど濃度が低くなり、血圧を下げる十分な効果が得られていないことが分かった。カテキンの一種「EGCG」によりナドロールを体内に吸収するタンパク質の機能が阻害されたことが要因としている。70~80%ほど濃度が低くなったのは、緑茶を約500ミリリットル飲んだ時で、300ミリリットル入りのペットボトル緑茶に相当するEGCGを服用した場合もナドロールの血中濃度が低下したという。三坂氏は「緑茶を一度飲むだけでも影響を受け、飲用後、少なくとも1時間程度はその影響が持続する」との見方を示した。医大によると、緑茶を巡っては、循環器系疾患のリスク低減など健康効果を示す科学的なデータが豊富だが、薬との「飲み合わせ」が体内に及ぼす影響を示したデータは少ない。薬と一緒に飲むだけではなく、日常的な飲用でもナドロールの効果を弱める可能性があり、三坂氏は「研究を進め、より良い緑茶の飲み方や薬の服用方法を提案していきたい」としている。今後、錠剤やカプセルとして服用する抗がん剤など、さまざまな薬と緑茶の飲み合わせに関する研究も進める。研究結果は、米国の臨床薬理学会雑誌などに掲載されている。