「子ども用車いす」を知って 障害児の母、思いブログに


障害や難病の子どもたちのことを、多くの人に知ってもらいたい――。岐阜市で重度の障害児を育てる母親が、自身や周りのママの体験をブログで紹介している。わが子の成長を見守る喜び、障害児のための「子ども用車いす」が一般のベビーカーと間違われて困ったこと――。当事者の思いをつづる。ブログを書いているのは、岐阜市の芦苅梓さん(33)。心身に障害がある悠真(はるま)君(3)を育てる。悠真君は生後7カ月で急性脳症となり、急性心筋炎や腎不全も併発。一命を取り留めたことについて、芦苅さんは「もう一度この手に抱けた喜びは、出産の喜びをはるかにこえていました」とブログにつづる。その後は半年以上、目も動かさず、表情が変わらない状態が続いたという。今も生活全般に助けが必要で、夜も5~10回ほどのけいれんが起きる。ブログには、子育てを通じて知り合った障害児のママや、ブログに寄せられた声も紹介する。いま最も「認知度を上げたい」と感じるのは、「子ども用車いす」についてだ。障害児や難病の子が使う子ども用車いすは、見た目がベビーカーと似ている。外出先で「たたんで」と注意されたり、障害者用の駐車場の利用を断られそうになったりするという。だが、この車いすは首や腰が安定しない状態の子が使う。悠真君の場合、車いすの重さは9キロほど。車いすをたたんで荷物を抱え、体重が15キロ以上ある悠真君を抱っこして移動するのは難しいという。障害に応じて、さらに医療器具を携行している家族もある。ほかにも、体が大きくなってからおむつ替えができるベッドは、街中のスーパーや薬局のトイレにまだ足りないと感じる。災害時の支援物資のおむつも、赤ちゃんと介護用の間のサイズがあると障害児は助かる。ブログでは、新型コロナウイルスの影響も紹介した。子どもの医療的なケアに必要な消毒用品が薬局ですぐに購入できず、困った家族があったという。悠真君は3歳ごろから寝返りが打てるようになり、今は感情を伝えようと声を出す。「10秒間、我慢して」という指示も分かる。「ほかの子と同じように心が育っている。悠真や障害のある多くの子が暮らしやすい世の中になれば」と芦苅さんは願う。ブログのタイトルは「ある日突然、重度の障害児になった息子が私に教えてくれること」。当事者の声も募っている。岐阜県障害福祉課によると、身体障害者手帳を交付された18歳未満の子どもは、県内に1400人いるという(3月末現在)。(高木文子)

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