ぜんそく治療薬のコロナ増殖抑制、仕組みを解明 群馬パース大


群馬パース大学(群馬県高崎市)は、大学院の木村博一教授(59)の研究チームが、新型コロナウイルスの治療薬候補として注目されているぜんそく治療薬「シクレソニド」がウイルスの増殖を抑える仕組みを解明したと発表した。研究結果について「治療薬候補としてのエビデンスを提供し、今後の創薬にも役立つ情報」としている。シクレソニドをめぐっては、集団感染が起きたダイヤモンド・プリンセス号の早期~中期の患者3人に吸入投与し、良好な結果が得られたことが報告された。その後、日本感染症学会では厚生労働省と協議し、投与症例の観察研究を行うなど有効な治療法として確立されることが期待されている。国立感染症研究所の実験ではシクレソニドが新型コロナウイルスのゲノム(全遺伝子情報)複製を抑制することが報告されているが、詳細は不明だった。研究は群馬大学、杏林大学、国立感染症研究所などと共同で行った。先端バイオインフォマティクス技術と高性能コンピューターを駆使したドッキングシミュレーションという手法で、シクレソニドの分子レベルでの抗ウイルス効果を詳細に分析。その結果、シクレソニドはコロナウイルスが複製の際に生じた変異を修正する酵素と結合することで、ウイルスゲノムの正確な複製を阻害することを初めて突き止めた。研究成果は、米アレルギー・ぜんそく・免疫学会が発行するアレルギー・臨床免疫学の専門誌「ジャーナル・オブ・アラジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー」に掲載された。

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