京大、知財を無償提供 新型コロナ対策の研究開発に


京都大学は29日、新型コロナウイルスの感染収束に向け、同大学が保有する特許などの知的財産を無償提供すると発表した。新型コロナ関連の研究開発をする際、4800件超の特許を国内外の企業などが利用できるようになる。京大が強みとするiPS細胞など再生医療関連の特許も含まれており、ワクチンや治療薬の開発での活用が期待できる。同様の知財活用策は、国内大学では東京工業大学に次いで2例目という。ただ、開放する特許の件数では東工大の131件を大幅に上回る。京大が保有する特許権、実用新案権、著作権を、新型コロナを収束するための研究開発に限定し、無償で利用できるようにする。ワクチン、治療薬、検査キット、医療機器、医療従事者保護などを「優先的な支援対象領域」として設定。ビッグデータ分析を活用した感染防止策など、医療関連以外でも提供する。期間は最長2022年12月31日まで。対象となる特許などには、京大が強みとする生命科学系のものが複数含まれているという。例えば、山中伸弥教授らによるiPS細胞関連の特許は、ワクチンや治療薬候補となる物質がどのように作用するのかをテストするための創薬ツールとして活用が期待される。こうした知財の利用については、すでに欧米の企業からも問い合わせがきているという。一部はオンラインでの申請など簡便な手続きによる利用も可能にする。新型コロナの世界的な感染拡大を受け、米アマゾンやIBMのほか、マサチューセッツ工科大学やハーバード大学も知財を無償提供している。国内ではトヨタ自動車やキヤノン、島津製作所など80社超が連携して提供を進めている。

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